育てて増やす
実物解剖① 1枚だけのスキル
僕の現役スキルを開きます。331行あってもファイルは1枚
ここからの2章は、僕が毎日の仕事で実際に使っているスキルの解剖です。1本目は、勉強会の録画を丸ごとアーカイブに仕上げるスキル。331行ありますが、ファイルはSKILL.md 1枚だけです。「行数が多い=フォルダを分ける」ではないことを、実物で見てもらいます。
この章でできるようになること
- 現役で動いているスキルの中身の構成を知っている
- 本文に「判断」と「例外」を書く意味が分かる
- 1枚のままでいい条件を言える
何をするスキルか
僕は「AIあそ部」というコミュニティで、AIの勉強会を定期開催しています。終わるたびに発生するのが、録画のアーカイブ作業です。録画を落として、字幕を付けて、切り抜きを作って、スライドにまとめて、紹介動画を作って、学習サイトに載せて、コミュニティに投稿する。全部で7点。毎回同じ流れなのに、毎回1時間かけて指示していました。
いまは「この録画、アーカイブとして保存して」の一言です。第02章で見せた説明文のスキルが、この7点を作り切ります。
中身の構成を開きます
SKILL.mdの見出しを抜き出すと、この並びです。
aiasobu-archive/SKILL.md(331行・ファイルはこれ1枚)
# AIあそ部アーカイブ制作
## ★ 依頼の粒度に関わらず、7点すべて作る ← 判断の宣言
## 固定値 ← 保存先などの決まりきった値
## 配信ルール(ここを間違えると事故る) ← 禁止事項
## 実行順
## STEP 1〜11 ← 手順の本体
## エラー対応
## 保存先と命名
## 完了時に伝えること
手順(STEP 1〜11)が本体なのは想像どおりだと思います。注目してほしいのは、その前後です。
先頭に、判断の宣言があります。「依頼の粒度に関わらず、7点すべて作る。毎回言われるわけではない。言われなくても作るのが既定」。僕が「アーカイブして」としか言わなくても7点全部が出てくるのは、この2行のおかげです。手順の前に、どこまでやるのが標準かを言い切っておく。ここが曖昧だと、頼むたびに仕上がりの範囲が揺れます。
例外も書いてあります。「『字幕だけ入れて』のように編集だけが目的なら、7点セットは作らない」。標準を強く言い切るなら、例外の逃げ道もセットで書く。この組み合わせで、やりすぎ事故を防いでいます。
禁止事項に、理由を添えています。配信ルールの見出しに「ここを間違えると事故る」とまで書いてあるのは、過去に深夜へ通知を飛ばしかけたからです。やってはいけないことは、強い言葉で目立たせて構いません。読むのはAIですが、効き方は人間の新人さんと同じです。
なぜ331行でも1枚のままなのか
第09章の基準に照らすと、このスキルはほぼ全部が「毎回使う手順」だからです。STEP 1〜11は毎回全部通ります。たまにしか読まない長い決まりごとが、ほとんどありません。だから別冊に移すものがなく、1枚が正解になります。
公式の推奨は500行未満でしたよね。331行はその中に収まっています。フォルダを分ける理由は行数ではなく、読み込みの回数。この実物が、その一番わかりやすい証拠です。
ちなみに固定値(保存先のフォルダ名など)を本文に直書きしているのも、毎回全部使うからです。もしこれが「案件によって切り替える値」なら、別冊に出して選ばせる作りにします。
この実物から持ち帰ること
- 手順は書いたのに、仕上がりの範囲が毎回違う
- 手順の前に「言われなくても、ここまでやるのが既定」という判断の宣言を足してください。あわせて「〜だけが目的なら、やらない」の例外も1行。範囲の揺れはこの2行で止まります。
- やってはいけないことを、どう書けばいいか分からない
- 禁止の理由ごと書くのがおすすめです。「深夜に通知が飛ぶので、送信前に必ず確認を取る」。理由があると、似た場面への応用が効きます。
この章のまとめ
331行の現役スキルを開きました。構成は、判断の宣言→固定値→禁止事項→手順→エラー対応。毎回全部使う中身だから、行数が多くても1枚のままが正解です。次の章は逆の実物、別冊も道具も持ったフル装備のスキルを解剖します。
章末チェックリスト
1枚型の実物を見ました。第11章はフル装備です。