スキルのしくみ
AIスキルとは何か
実物は15行のテキストです。まず完成形から見ます
スキルの正体は、拍子抜けするくらい単純です。
仕事のやり方を書いたテキストファイルを、フォルダに入れたもの。
それだけです。
この章では説明より先に、完成形の実物を見ます。
15行です。
この章でわかること
- スキルの実物がどんな見た目か知っている
- 「毎回貼るプロンプト」とスキルの違いを説明できる
- ファイルではなくフォルダである理由が分かる
まず完成形を見ます
これが、この教科書で作っていく議事録スキルの完成形です。gijirokuという名前のフォルダの中に、SKILL.mdという名前のテキストファイルが1枚。
中身はこれで全部です。
---
name: gijiroku
description: 会議の録音メモや走り書きを、決まった型の議事録に清書する。
「議事録にして」「議事録まとめて」と頼まれたら必ずこのスキルを使う。
---
# 議事録の作り方
1. 冒頭に、会議名・日時・参加者を書く
2. 「決まったこと」を箇条書きにする。1項目1行
3. 「宿題」を、担当者名と期限つきの表にする
4. 最後に「次回に持ち越した論点」を書く
5. 全体でA4半分まで。発言の逐語記録は入れない
6. 聞き取りに自信がない箇所は、勝手に埋めずに(要確認)と書く
読めましたよね。
プログラムは1行もありません。
上下の --- で挟まれた部分が「名前と説明文」、その下が「手順の本文」。
新しく入った人に渡す手順書と、書いてあることは同じです。
このフォルダを決まった場所に置いておきます。
すると、Claudeに「昨日の打ち合わせのメモ、議事録にして」と頼んだとき、Claudeが自分でこの手順書を開いて、この型のとおりに仕上げてきます。
あなたが型を説明する必要は、もうありません。
スキル / SKILL.md
スキルは「仕事のやり方をまとめたフォルダ」の呼び名で、SKILL.mdはその中に必ず1枚置くテキストファイルの決まった名前です。
末尾の「.md」はマークダウンという書式の目印ですが、書くのはAIに任せるので、書式を覚える必要はありません。
「毎回貼るプロンプト」と何が違うのか
「いいプロンプトをメモ帳に保存して、毎回貼っている」という人は多いはずです。
あれと何が違うのか。
置かれ方が違います。
メモ帳のプロンプトは、あなたが思い出して、探して、貼るものです。
貼り忘れたら効きません。
10個に増えると、どれがどれだか分からなくなります。
スキルは、置いておくと向こうから開かれるものです。
「議事録にして」と言うだけで、Claudeが「この依頼は議事録スキルの出番だ」と判断して、勝手に手順書を開きます。
あなたは手順書の存在を忘れていて構いません。
忘れた頃にも、型は守られ続けます。
新しく入った人への教え方で言えば、毎回口頭で説明するのがプロンプトの貼り付けで、手順書を渡して「必要なときに開いて」と言うのがスキルです。
教える側が楽になるのは、後者ですよね。
ファイルではなくフォルダ、である意味
「テキスト1枚ならファイルでいいのに、なぜフォルダ?」と思いませんか。
理由は、あとから育てられるようにするためです。
手順書を使ううちに、書式の決まりが長くなってきたら、別冊の資料をフォルダに足せます。
毎回同じ集計をしているなら、集計の道具(小さなプログラム)を足せます。
報告書のひな形も入れられます。
SKILL.md 1枚から始めて、仕事の成長に合わせてフォルダが育っていく。
この設計になっているから、最初は1枚で十分なんです。
フォルダに何をどう足すかは第4章と第9章で扱います。
先に言い切っておくと、僕の現役スキル34本のうち、半分以上はSKILL.md 1枚だけです。
フォルダを飾ることは目的ではありません。
Claude Code以外でも使えます
このスキルの書式は、Anthropic独自のものから出発して、いまは複数のAIツールが読める共通の型(Agent Skillsというオープン標準)になっています。Claude Codeで作った手順書のフォルダは、ブラウザ版のClaude(claude.ai)にzipで持ち込めますし、他社のAIツールにもこの標準を読むものがあります。
つまり、いま書く手順書は特定のアプリ専用の設定ではなく、どのAIにも渡せる「あなたの仕事の言語化」です。
ここがスキルのいちばん良いところだと感じています。
この章のまとめ
スキルの実体は、名前と説明文と手順を書いたSKILL.md 1枚が入ったフォルダです。
プロンプトと違って、置いておけば向こうから開かれます。
フォルダなのは育てるためで、最初は1枚で十分。
次の章では、Claudeがどうやって「この依頼はこのスキルだ」と選んでいるのか、しくみを見ます。
ここが分かると、あとの章が全部つながります。
章末チェックリスト
実物を知りました。第2章で、選ばれるしくみを見ます。