スキルのしくみ第03章 ・ 読むのにかかる時間 約4分

3段階の読み込み

必要になるまで読まない。だから何個作っても軽いままです

「スキルを増やすとAIが重くなりそう」と心配する人が多いのですが、逆です。スキルは必要になるまで読まれない設計になっていて、何個置いても普段はほぼタダ。この章はその数字の話です。数字が分かると「本文は薄く」「説明文は絞る」という後の章の指示に、全部理由がつきます。

この章でできるようになること

  • 「トークン」が何か、ざっくり説明できる
  • スキルの3段階の読み込みを、数字つきで言える
  • 本文を薄く保つべき理由が分かる

先に、トークンという単位だけ覚えます

この章には「トークン」という単位が出てきます。ここだけ専門用語なので、先に済ませましょう。

トークン

AIが文章を数えるときの単位です。ざっくり、日本語の1文字が1〜2トークンくらい。そしてAIには、一度の会話で覚えていられる量に上限があります。財布と同じで、何かを読み込むたびに残りが減っていく。だから「読まなくていいものは読まない」が大事になります。

読み込みは3段階に分かれています

公式ドキュメントは、スキルの中身が3段階に分けて読み込まれると説明しています。数字ごと見てください。

段階いつ読まれるか量の目安
名前と説明文常時(会話の最初から)1スキルあたり約100トークン
SKILL.mdの本文そのスキルが選ばれたとき5000トークン未満に収める
フォルダ内の他のファイル本文から案内されて、必要なときだけ読むまで0
常時読まれるのは1段目だけ。2段目・3段目は必要になった瞬間に開きます。

1段目の約100トークンは、日本語なら数十文字ぶんです。スキルを30本置いても、普段の負担は合計3000トークンほど。だから安心して増やせます。

3段目が、第01章で言った「フォルダである意味」の続きです。フォルダに分厚い資料を入れておいても、読まれるまでは0トークン。しかも資料と道具(小さなプログラム)では扱いが違って、資料は開くと丸ごと読み込まれますが、道具は実行した結果だけが返ります。道具の中身が何百行あっても、Claudeが受け取るのは「集計できました、合計37件です」の一言だけ。この違いは第09章で効いてきます。

一度開いた手順書は、会話の最後まで残ります

もうひとつ、見落とされがちな仕様があります。スキルが一度発動すると、その本文はその会話が終わるまで残り続けます。用が済んだら消える、ではありません。

つまり、太った本文は太ったまま最後まで居座って、会話の残り容量を圧迫します。公式が本文を500行未満に保つよう勧めているのは、このためです。長くなったぶんは3段目(必要なときだけ読むファイル)へ逃がす。手順書の本文は「進め方と、どこに何があるかの案内」だけにする。これが型です。

一覧表の枠の、具体的な数字

第02章で「一覧表には枠がある」と言いました。数字はこうです。

  • 1スキルの説明文(補足も合算)は、一覧に載るとき1536文字で切られます。大事な用途は先頭に書く理由がこれです
  • 一覧表全体の枠は、標準ではAIが扱える全体量の1%。あふれると、呼ぶ回数が少ないスキルから説明文が削られます

削られるのは説明文で、選ばれる材料そのものです。中身は完璧なのにいつまでも選ばれない、という状態はこうして起きます。対策は増設ではなく整理。第13章の棚卸しにつながります。

ここまでの数字は、出典つきで付録Aの早見表にまとめてあります。覚えなくて大丈夫です。「常時は名前と説明文だけ」「本文は残り続けるから薄く」の2つが体に入っていれば十分です。

この章のまとめ

スキルは3段階読み込みで、常時のコストは1本あたり約100トークンだけ。だから増やしても軽いままです。一方で、発動した本文は会話の最後まで残るので、500行未満に薄く保って、長い資料はフォルダの3段目へ。一覧表の枠には1536文字と全体1%という上限があり、あふれると説明文から削られます。しくみの話はあと2章。次はフォルダの中身の役割分担です。

章末チェックリスト