スキルのしくみ第01章 ・ 読むのにかかる時間 約5分

AIスキルとは何か

実物は15行のテキストです。まず完成形から見ます

スキルの正体は、拍子抜けするくらい単純です。仕事のやり方を書いたテキストファイルを、フォルダに入れたもの。それだけです。この章では説明より先に、完成形の実物を見ます。15行です。

この章でできるようになること

  • スキルの実物がどんな見た目か知っている
  • 「毎回貼るプロンプト」とスキルの違いを説明できる
  • ファイルではなくフォルダである理由が分かる
1分の解説動画です。字幕を焼き込んであるので、音を出せない場所でもそのまま見られます。

まず完成形を見ます

これが、この教科書で作っていく議事録スキルの完成形です。gijirokuという名前のフォルダの中に、SKILL.mdという名前のテキストファイルが1枚。中身はこれで全部です。

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name: gijiroku
description: 会議の録音メモや走り書きを、決まった型の議事録に清書する。
  「議事録にして」「議事録まとめて」と頼まれたら必ずこのスキルを使う。
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# 議事録の作り方

1. 冒頭に、会議名・日時・参加者を書く
2. 「決まったこと」を箇条書きにする。1項目1行
3. 「宿題」を、担当者名と期限つきの表にする
4. 最後に「次回に持ち越した論点」を書く
5. 全体でA4半分まで。発言の逐語記録は入れない
6. 聞き取りに自信がない箇所は、勝手に埋めずに(要確認)と書く

読めましたよね。プログラムは1行もありません。上下の --- で挟まれた部分が「名前と説明文」、その下が「手順の本文」。新しく入った人に渡す手順書と、書いてあることは同じです。

このフォルダを決まった場所に置いておくと、Claudeに「昨日の打ち合わせのメモ、議事録にして」と頼んだとき、Claudeが自分でこの手順書を開いて、この型のとおりに仕上げてきます。あなたが型を説明する必要は、もうありません。

スキル / SKILL.md

スキルは「仕事のやり方をまとめたフォルダ」の呼び名で、SKILL.mdはその中に必ず1枚置くテキストファイルの決まった名前です。末尾の「.md」はマークダウンという書式の目印ですが、書くのはAIに任せるので、書式を覚える必要はありません。

「毎回貼るプロンプト」と何が違うのか

「いいプロンプトをメモ帳に保存して、毎回貼っている」という人は多いはずです。あれと何が違うのか。置かれ方が違います

メモ帳のプロンプトは、あなたが思い出して、探して、貼るものです。貼り忘れたら効きません。10個に増えると、どれがどれだか分からなくなります。

スキルは、置いておくと向こうから開かれるものです。「議事録にして」と言うだけで、Claudeが「この依頼は議事録スキルの出番だ」と判断して、勝手に手順書を開きます。あなたは手順書の存在を忘れていて構いません。忘れた頃にも、型は守られ続けます。

新しく入った人への教え方で言えば、毎回口頭で説明するのがプロンプトの貼り付けで、手順書を渡して「必要なときに開いて」と言うのがスキルです。教える側が楽になるのは、後者ですよね。

ファイルではなくフォルダ、である意味

「テキスト1枚ならファイルでいいのに、なぜフォルダ?」と思いませんか。理由は、あとから育てられるようにするためです。

手順書を使ううちに、書式の決まりが長くなってきたら、別冊の資料をフォルダに足せます。毎回同じ集計をしているなら、集計の道具(小さなプログラム)を足せます。報告書のひな形も入れられます。SKILL.md 1枚から始めて、仕事の成長に合わせてフォルダが育っていく。この設計になっているから、最初は1枚で十分なんです。

フォルダに何をどう足すかは第04章と第09章で扱います。先に言い切っておくと、僕の現役スキル34本のうち、半分以上はSKILL.md 1枚だけです。フォルダを飾ることは目的ではありません。

Claude Code以外でも使えます

このスキルの書式は、Anthropic独自のものから出発して、いまは複数のAIツールが読める共通の型(Agent Skillsというオープン標準)になっています。Claude Codeで作った手順書のフォルダは、ブラウザ版のClaude(claude.ai)にzipで持ち込めますし、他社のAIツールにもこの標準を読むものがあります。

つまり、いま書く手順書は特定のアプリ専用の設定ではなく、どのAIにも渡せる「あなたの仕事の言語化」です。ここがスキルのいちばん良いところだと感じています。

この章のまとめ

スキルの実体は、名前と説明文と手順を書いたSKILL.md 1枚が入ったフォルダです。プロンプトと違って、置いておけば向こうから開かれます。フォルダなのは育てるためで、最初は1枚で十分。次の章では、Claudeがどうやって「この依頼はこのスキルだ」と選んでいるのか、しくみを見ます。ここが分かると、あとの章が全部つながります。

章末チェックリスト